ゆみたちは何故マラソン選手にならなかったのか

その持続し続ける体力は、他に類を見ない。
料理の下準備をして家を片づけ、こことサンフランシスコ間を往復し、観光案内をし、お客をもてなし、真夜中にまたサンフランシスコまで往復しながら言った言葉。
「私、まだまだ何かやれる。」
さすがにサンフランシスコの少し荒れた辺りを通るときは、「この信号で止まりたくない」と呟いてはいたが、それは体力とは別問題の話だ。ちょっと怪しげなコーヒーショップを眺めながら、「お茶して行く?」と呟くゆみたち。さすがに冗談だった。
私は殆ど自己満足のために付いて行ったようなものだったなぁ。
私は密かに頭がガンガンと痛く、今日は朝遅くまで寝続けた。
ゆみたちは、今日もまた早くから起き、しんちゃんがゆみたち邸に忘れたデジカメを、空港まで届けに行ったことだろう。
お願い、ゆみたち、無理はしないで。
でもきっと、ゆみたちは答える。「私、平気なのよぉ。」と。