肉と魚

なんと言ってあげればいいのか。
Yはボロボロと涙をこぼしながら泣くのだ。

僕ね、肉と魚大好きでしょ。でもね、食べたくなくなることがあるんだ。
病気で気持ち悪いんじゃないよ。
肉も魚も生き物でしょ、それを殺しちゃうのがいやなんだ。。。(ボロボロ、しくしく)

折しもテレビで「料理の鉄人」放送中。
2000皿目の特別料理で、主宰の好物の「バナナ、豚肉、スッポン」が課題と発表される。

えー、あれ、かめ?
かめ食べるの?
かわいそー。(ボロボロ、しくしく)

あのね、肉も魚もYくんが大きくなるのに必要な物なの。
Yのために食べ物になってくれてるんだから、食べるときに動物に感謝して、粗末にしないでちゃんと食べてあげればいいんだよ。
もしかしたら、Yに食べられて嬉しかったかもしれないよ。

と、言ってみたが、話題にすりかえに過ぎず、Yの泣きは止まらない。
「嬉しくなかったかもしれないじゃないか。。。」(ボロボロ、しくしく)
動物を殺してるっていうのが、悲しいんのだ。

ゴリラを撃ってね、灰皿にする人がいるんだって。(知らなかったな、そんなの)
象の牙、捕る人が減って良かったな。
日本ではね、亀の骨(それは、甲良)をね、捕ったりするんだってよ。
(もしや、鼈甲のこと?私、腕時計のベルトについてる、とはとても言えない。)

なんで、そういうこと知ったの?

学校でね、本に書いてあったの。
今晩食べたお肉は何の肉?

あれは、牛肉よ。

牛かぁ。(ボロボロ泣く)

ほら、牛も可哀想かもしれないけど、Yが飼ってるヤドカリ。あれ、ちゃんと世話してあげてないでしょ。牛は食べられるって事で世の中の役に立って死んでいったかもしれないけど、ヤドカリあのまま死んじゃったら意味のない人生になっちゃうんだよ。
身近なところで、生き物を大事にすること考えてみれば?
(あぁ、これも本題とずれてる。。。)

えー、だって僕、世話の仕方よくわかんないし。。。(ボロボロ、しくしく)

テレビでは鉄人の陳さんが笑顔で肉を切り刻む。

あー、僕、見たくないよ。切ってるよ、肉。

でもYくん、紙だって木を倒して作ってるでしょ。

木と動物は違うよぉ。

うぅん、同じよ。だから、何でも大事にしなくちゃいけなくて、物を粗末にしちゃいけないんだよ。
(あぁ、何と言えばいいのかわからない。。。)

Yは今晩食べた牛のために祈り、ボロボロしくしく泣いたまま、ベッドに入った。

肉や魚、食べなくなっちゃうんだろうか。。。